株で勝つための知恵袋

株式市場の月別アノマリー:投資戦略への影響を解説

株式市場には多くの神話と謎がありますが、その中でも特に興味深いのが「月別アノマリー」です。

今回はこの興味深い現象を掘り下げ、どのように私たちの投資戦略に影響を与えるのかを見ていきましょう。

月別アノマリーとは?

月別アノマリーとは、特定の月に株価が統計的に有意なパターンを示す現象です。例えば、一般的に知られている「5月に売れ」という格言は、夏の間は株式市場のパフォーマンスが悪い傾向にあるという観察に基づいています。

そして、これらのアノマリーの原因には様々な理論があります。心理的な要因、機関投資家の資金流入・流出パターン、税務上の戦略、さらには季節による投資家の気分の変化などが考えられています。

それでは、株式市場のアノマリーについて月別で見ていきましょう。

1月:1月効果

1月には、特に小型株が大型株に比べて高いリターンを示す傾向があります。これは、税務上の理由で年末に売却された株が年始に再購入されるためとされています。また、大発会が安い年は一年を通じて軟調な動きを見せることが多く、反対に大発会が強く高い年は1年を通じて底堅い動きを見せることが多くなっています。

2月:新年の最適化

1月効果の続きとして、2月もしばしば好調なパフォーマンスを見せます。投資家は新年の予算計画や戦略を立て、積極的な取引を行うこともあります。しかしながら、過去にはチャイナショック等、日経平均が急落した年もあり、彼岸底とも言われるように警戒が必要な月でもあります。

3月:年度末の調整

多くの企業の会計年度末が3月であるため、企業の財務調整や配当の支払いによって市場が動きます。また、機関投資家の決算月でもあるので、自ら株を買って株価を上昇させる動き(ドレッシング買い)も見られます。

4月:春のラリー

通常、4月は市場にとって好調な月で、新しい財政年度の始まりとともに、企業の積極的な計画が明らかになることが多いです。下旬からは3月決算企業の決算発表が相次ぐことから、好業績銘柄の株価上昇に期待が持てます。

5月:「5月に売れ」

株式市場では、夏季に入る前の売却を促す「5月に売れ、そして離れろ」という格言があります。夏の間、市場の活動が鈍化し株安に流れる傾向があります。特に上旬から中旬にかけては決算発表によってボラティリティの激しい相場が続くことから、「セルインメイ」となる可能性も高まります。

6月:夏季の静けさ

多くの投資家が休暇に入るため、市場のボラティリティが低下し、取引量が減少する一方で、ボーナス時期でもあることから6月配当や株主優待銘柄に人気が集中する傾向があります。

7月:中間決算の影響

多くの企業が四半期決算を発表するため、特に好調な業績を示す企業の株に注目が集まります。また、決算発表後には機関投資家が銘柄を組み替えることから、材料を探してテーマ株に資金が集中する可能性も高まってきます。

8月:夏の不安定さ

通常、取引量が減少し、不確実性が高まるため、市場が不安定になりやすい月です。特に海外投資家がバカンスに入り、国内ではお盆休みと市場参加者が著しく少なくなることから夏枯れ相場に突入することが多くなります。一方で、初旬にはJPX日経400の銘柄入れ替えがあるため、思惑買いで相場が動くケースもあります。

9月:秋の調整局面

歴史的に、9月は株式市場にとって最もパフォーマンスが悪い月の一つです。多くの投資家は夏の間の動向を評価し、ポートフォリオを調整します。初旬には日経平均の銘柄入れ替えがあるため、思惑買いで相場が動くケースもあり、月末には中間配当や株主優待銘柄を中心に底堅い動きを見せることが多くなります。

10月:10月の恐怖

歴史的に大きな市場のクラッシュが何度か発生しており、投資家の間で不安定な月として知られています。米国では、1929年10月24日の木曜日は暗黒の木曜日と言われ、1930年代の世界恐慌が始まった日といわれています。また、1987年10月19日の暗黒の月曜日も有名で、NYダウが1日で22.6%も下落しました。年末に向けて投資家心理がナーバスになりやすく、これが市場のクラッシュの原因ともいわれています。

11月:感謝祭ラリー

アメリカの感謝祭前後には、伝統的に市場が好調な動きを見せることがあります。国内では決算発表も一巡し、年末にかけて機関投資家やファンドも資産を動かす傾向にあるため、好業績銘柄を中心に株高となる可能性が高まります。特に最終週は年末ラリーへの期待感から上昇トレンドを形成しやすくなります。

12月:クリスマスラリー

年末に向けて、市場はしばしば上昇傾向を見せます。これは、祝祭日の楽観的なムードや年末のボーナス支給による影響があるとされています。中旬のメジャーSQ(先物とオプションの最終決済日)通過後は、年末に向けてクリスマスラリーに突入し株価も堅調な動きを見せます。

まとめ

これらの月別アノマリーは、市場の歴史的な傾向に基づくものであり、必ずしも未来の市場動向を正確に予測するものではありません。しかしながら、これらのパターンを参考にしながら歴史に学ぶことは投資成績を向上させるためには非常に大切な要素となります。また、投資を始めたばかりの方にはひとつの判断基準としても有用な情報になり得ます。機関投資家、個人投資家の動きを把握しながら、投資家としてのスキルを高めていきましょう。

投資主体別の売買状況はこちらを参考にしてください。

また、歴史から学ぶには書籍が一番です。

おすすめの本も紹介していますので、ぜひご覧ください。

おすすめの株本10選はこちら